2021年2月。
我が家に、2匹の柴犬がやってきました。
女の子の凪(なぎ)と、男の子の琥珀(こはく)。
今では実家に8匹の柴犬がいますが、その物語の始まりには、父の長年の憧れがありました。
父の憧れから始まった出会い
父は子どもの頃から、いつか犬を飼うことに憧れていたそうです。
そんな父の職場に、宮城県の犬舎と親戚関係にある同僚がいました。
その方に縁をつないでもらい、2021年2月、凪と琥珀を迎えることになりました。
当時の凪は、1歳半ほどの女の子。
琥珀は7歳の男の子でした。
初めて我が家にやってきた2匹。
今思えば、あの日が現在の「8柴物語」につながる大きな一歩だったのだと思います。
凪という名前に込めた思い
実家に到着したばかりの凪は、小さく震えていました。
知らない場所、知らない人たち。
きっと戸惑うこともあったのだと思います。
それでも凪は、吠えることなく、こちらに歩み寄ってきました。
手を差し出すと、そっと匂いを嗅ぎに来てくれました。
撫でてみると、嫌がる様子もありません。
ただただ、かわいい女の子。
それが、凪と初めて出会ったときの印象です。
震えながらも、どこか凛とした姿。
その落ち着いた様子から、穏やかな子なのかなと思いました。
そして、この女の子に「凪(なぎ)」という名前をつけました。
我が家に来て間もない頃、凪は少し変わったベッドで眠っていました。
それが、カップ焼きそばの容器を模した犬用ベッド。
大きな焼きそばの容器の中に、柴犬がすっぽり収まっている姿は、今見返してもなんだかおかしくなります。
気持ちよさそうに寝ている写真もあれば、こちらをちらっと見ている写真もあります。
当時は何気なく撮った写真でしたが、こうして見返すと、家に来たばかりの凪との時間がよみがえってきます。

凪がつないでくれた家族の時間
凪を迎えた頃、我が家はごく普通の家族でした。
両親は共働き。
兄はすでに家を出ていて、姉と僕は社会人、妹は高校生でした。
それぞれの生活リズムがあり、家族全員で過ごす時間も、会話をする時間もまちまちだったように思います。
決して仲が悪かったわけではありません。
ただ、みんながそれぞれの毎日を過ごしていました。
そんな我が家に、凪がやってきました。
「今日は凪、何してた?」
「散歩に行ってきた?」
そんな何気ない会話が、少しずつ増えていきました。
一緒に散歩へ出かけたり、凪の様子を家族で話したり。
それまで別々の時間を過ごしていた家族が、犬たちを中心に同じ話題で笑うことが増えたように感じます。
犬を迎えたことで、家族の関係が大きく変わったというよりも、家族が同じ時間を共有するきっかけが増えた。
今振り返ると、それが僕にとって、とても大きな変化だったのだと思います。
琥珀から、こっぺへ
凪と一緒に我が家へやってきた、琥珀。
当時7歳だった琥珀は、おとなしく穏やかで、凛々しい顔立ちをした男の子でした。
琥珀という名前は、僕がつけさせてもらいました。
きれいな茶色の毛並みと、どこか優しさを感じる目。
その姿を見たとき、宝石の琥珀を思い浮かべたのです。
凪には「凪」という名前を。
そして、この男の子には「琥珀」という名前を。
2匹それぞれの姿から感じたことを、名前に込めました。
我が家でしばらく一緒に過ごした琥珀は、2021年5月のゴールデンウィーク頃、母の知人のもとへ迎えられました。
その方は、僕たち兄弟も幼い頃からお世話になっていた人です。
新しい家族のもとで、琥珀は「こっぺ」という名前になりました。
新しい家族に迎えられれば、名前が変わることもあるだろうと思っていました。
それでも「こっぺ」という名前を聞いたとき、少しうれしかったことを覚えています。
新しい飼い主さんも、僕が琥珀という名前をつけていたことを知ってくれていました。
「琥珀」から「こっぺ」へ。
本当のところ、どんな思いで名付けてくれたのかは分かりません。
でも、僕には、琥珀という名前をどこか大切にしてくれたように感じられました。
名前は変わっても、その子を思う気持ちはつながっている。
そんなふうに思えたことが、今でも心に残っています。
迎えられた後も、ときどき近況を聞かせてもらったりする機会がありました。
離れて暮らすようになっても、琥珀とのつながりがなくなったわけではありませんでした。
新しい家族に大切にされている様子を知ることができたのは、僕たちにとってもうれしいことでした。
迎えられて間もない頃、心臓に異変が見つかったと聞きました。
その後も新しい家族と時間を重ね、2024年頃に旅立ったそうです。
こっぺとして過ごした日々のすべてを、僕は知っているわけではありません。
それでも、近況を聞かせてもらったこと、一緒に出かけたこと。
その一つひとつが、今も大切な思い出です。

リードの先につながっていたもの
最近では、犬と人とのふれあいが心に与える影響について耳にすることがあります。
でも、難しい話を抜きにしても、僕自身、凪と琥珀に出会って感じたことがあります。
犬のリードは、犬と人をつなぎ、安全を守るためのものです。
けれど、凪と出会ってから、家族の会話が増えました。
一緒に散歩する時間が増え、何気ない出来事を話す機会も増えました。
そして琥珀は、新しい家族のもとへ迎えられた後も、人と人とのつながりを残してくれました。
今になって思います。
リードでつながっているのは、犬と人の身体だけではないのかもしれません。
人と人、そして人と犬の心も、つないでくれているのかもしれない。
2021年2月。
凪と琥珀、2匹の柴犬との出会いから始まった、我が家の新しい日常。
あの頃は、まさか今のように8匹の柴犬がいる毎日になるとは思ってもいませんでした。
これから少しずつ、凪との暮らし、そして新しく出会っていった犬たちとの物語を残していこうと思います。

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